【PowerPoint】スライドマスターの基本
PowerPointには、スライドマスターという機能があります。スライドマスターを使用すると、複数のスライドに共通するレイアウトを一括で定義することができます。便利な機能ではあるのですが、どこでどのように設定すると何が変更されるのか、若干わかりづらい機能でもあります。
この記事では、スライドマスター機能の基本的な使い方を解説します。
スライドマスターとは?
スライドマスターはPowerPointにある機能のひとつです。複数のスライドに共通する要素、例えばヘッダーやフッター、ページ数といったような内容を、統一的に定義するために使用されます。
簡単な使用例
イメージを掴んでいただくために、簡単な例を見てみましょう。
下の画像は、サンプルで作成したPowerPointファイルです。2枚のスライドからなり、それぞれに簡単な文章が書いてあります。

ここで、両方のスライドにロゴを入れる必要があるとしましょう。それぞれのスライドにひとつずつロゴを入れていくと手間がかかります。スライドが2枚であれば問題ないかもしれませんが、10枚、20枚とあったらだいぶ時間がかかることになるでしょう。また、それぞれのスライドにおけるロゴの位置をきれいに揃えるため、微妙な位置調整が必要になるかもしれません。
そこで、スライドマスターを使用します。まず、「表示」タブにある「マスター表示」グループ の中から「スライドマスター」をクリックします。

「マスター表示画面」に切り替わると、左側にスライドナビゲーションが表示されます。

最初に選択されているのは、元の画面で選択していたスライドに適用されているレイアウトです。そのまま上に辿っていくと、少し大きめのスライドが表示されています。これが、元のスライドに適用されているスライドマスターです。まずは、これを選択します。

左側のナビゲーションでスライドマスターを選択すると、選択したスライドマスターが右側に表示されます。ここで、ロゴを設定してみます。図形を挿入し、スライドの右上にセットします。

「スライドマスター」タブの「閉じる」グループにある「マスター表示を閉じる」を選択して、元の画面に戻ります。それぞれのスライドを見てみると、スライドマスターで設定したロゴが表示されていることが確認できます。

このロゴは、通常の「スライドショーの編集画面」からは編集することができず、「マスター表示画面」からしか修正することができません。そのため、通常の「スライドショーの編集画面」でスライドを編集しているときに、誤ってロゴを消してしまったり移動してしまったりする心配はありません。
ここまでで、スライドマスターの簡単な使用例を見てきました。大まかな使用イメージが湧いたところで、スライドマスターに関する基本的な概念や用語を確認していきましょう。
画面の名称と切り替え方法
スライドマスターを編集する際、「表示」タブにある「スライドマスター」を押下して、スライドマスター編集用の画面に切り替える必要があります。

切り替え後の画面は、「マスター表示画面」と呼ばれます。「マスター表示画面」から元の画面に戻るためには、「スライドマスター」タブの「閉じる」グループにある「マスター表示を閉じる」を押下します。

通常の編集画面は「スライドショーの編集画面」と呼ばれます。
画面の名称と切り替え方法まとめ
- スライドショーの編集画面:通常のスライドを編集する画面
- マスター表示画面:スライドマスターを編集するための画面
スライドマスターとレイアウト
マスター表示画面で編集するものには、スライドマスターとレイアウトの2種類があります。レイアウトは、各スライドに適用するテンプレートのようなもので、スライドマスターはレイアウトのテンプレートのような位置付けです。
マスター表示画面で編集できるもの
- スライドマスター:レイアウトのテンプレート
- レイアウト:スライドのテンプレート

ここで重要なのは、PowerPointで作成されるすべてのスライドには、必ず何かしら1つのレイアウトが適用されているということです。何のレイアウトも適用されていないスライドは存在しないですし、また、複数のレイアウトが適用されているスライドも存在しません。
これは、スライドマスターに対しても同じことが言えます。すべてのレイアウトには、必ず1つのスライドマスターが適用されています。
以上のことから、複数のスライドに同じ内容を表示するためには、両方に適用されているレイアウト、または、両方のレイアウトに適用されているスライドマスターを編集する必要があります。
スライドマスターとレイアウトの名前
スライドマスターとレイアウトには名前をつけることができます。付けられた名前は、「スライドショーの編集画面」でスライドに適用するレイアウトを選択する際に、表示されます。

それぞれの名前を編集するためには、「マスター表示画面」のスライドナビゲーションにおいて、名前を変更したい対象を右クリックしてから「マスターの名前変更」をクリックします。

表示されたウィンドウで変更後の名前を入力し、「名前の変更」ボタンをクリックすれば変更は完了です。

スライドマスターの用途
スライドマスターの利用用途はいろいろありますが、主要なものとしては以下の2つがあります。
- ヘッダーとフッターの設定
- デフォルトのフォント・色・サイズの指定
各スライドに共通したヘッダーやフッターを設定するのはよくある用途です。「簡単な使用例」のところで紹介したようにロゴを設定したり、あるいは、スライドのページ数を入れていくこともあるでしょう。
また、デフォルトのフォントや色を指定するのにも、スライドマスターはよく使用されます。スライド全体でフォントや色を統一するのは資料を作成する上で基本的なことだと思いますが、スライドマスターを使用することでそれを効率的に実現することができます。
ここからは、上記2つの用途について、具体的にどのように設定してくのかを解説します。
ヘッダーとフッターの設定
スライドマスターを使用してヘッダーやフッターを設定するのは典型的な使い方のひとつです。ただ、方法が2種類あり、どちらの方法を使うかで使用感が変わってきます。
- 方法①:「ヘッダーとフッター」機能を使用する方法
- 方法②:「ヘッダーとフッター」機能を使用せず、独自に作成する方法
PowerPointには「ヘッダーとフッター」という名称の機能があります。なので、本来であればそちらを使うのが王道なのだと思います。しかし、「ヘッダーとフッター」を使用する方法にはデメリットもあり、もう一つの方法もよく使用されています。
ここからは、それぞれの具体的な方法について解説していきます。
方法①:「ヘッダーとフッター」機能を使用する方法
先述の通り、PowerPointには「ヘッダーとフッター」という機能があります。これを使うことで、日時やスライドのページ数などをスライドに設定することができます。
それでは、具体的な方法を見ていきましょう。
まず、「挿入」タブにある「ヘッダーとフッター」を選択します。

表示された「ヘッダーとフッター」ウィンドウで、表示したい内容にチェックをつけ、「すべてに適用」ボタンを押下します。

これで、フッターを設定することができました。それぞれのスライドを見てみると、確かに設定した内容が反映されていることが確認できます。

さて、これでヘッダーとフッターを設定できたわけですが、この方法にはひとつ特徴があります。それは、各スライドの編集画面にて、スライドマスターで設定したヘッダーとフッターの内容を変更できることです。
試しに、1ページ目のページ数の位置を移動してみましょう。

このように、スライドの編集時にフッターの内容を変更することができます。他のスライドのページ数の位置は元のままなので、このスライドだけがページ数の位置がズレた状態になってしまいます。
このようなことが可能だと、スライドの内容を編集している最中に、うっかりヘッダーやフッターの内容を変更してしまう可能性があります。知らない間にヘッダーの内容が変更されていて、資料を提出した後やプレゼンテーションの最中にそのことに気づく、といった事態になると目も当てられません。
そこで次に、スライドの編集画面では変更できない形でヘッダーやフッターを設定する方法を紹介します。
方法②:「ヘッダーとフッター」機能を使用しない方法
ここからは、PowerPointの「ヘッダーとフッター」機能を使用せずに、ヘッダーやフッターを設定する方法を紹介します。この方法を使うことで、スライドの編集画面では変更できないような形で、ヘッダー・フッターを設定することができます。
まず、「表示」タブにある「スライドマスター」を押下して、「マスター表示画面」を表示します。

続けて、スライドマスターを選択します。

「挿入」タブから図形を選択し、スライドマスターの右上に配置します。

「スライドマスター」タブの「閉じる」グループにある「マスター表示を閉じる」を押下し、元の画面に戻ります。

これで、ヘッダーにロゴを設定することができました。元の「スライドショーの編集」画面へ戻って確認してみましょう。
方法①を使用した時と異なり、「スライドショーの編集」画面でヘッダーをクリックしても選択することができません。内容を変更することはもちろん、場所を移動することもできません。

これにより、それぞれのスライドを編集している間、間違ってヘッダーやフッターを変更してしまう心配がなくなりました。
デフォルトのフォント・色・サイズの指定
続いて、スライドのデフォルトのフォントや色、サイズを指定する方法を解説します。
これはとてもシンプルで、「マスター表示画面」でスライドマスターやレイアウト上にあるオブジェクトを選択し、フォントや色を指定するだけです。
それでは、例として、スライドのタイトルとコンテンツで使用されるフォントを「Meiryo UI」にしてみましょう。

まず、「マスター表示画面」で、フォントを設定したいレイアウトを選択します。右側のウィンドウに表示されたレイアウト上で、タイトルとコンテンツのオブジェクトを選択します。

この状態で、「ホーム」タブにあるフォントのプルダウンから「Meiryo UI」を選択します。

「スライドショーの編集画面」へ戻り、スライドのフォントを確認してみると、「Meiryo UI」になっていることが確認できます。

また、新しいスライドを作り、同じレイアウトを適用してみましょう。

先ほどフォントを変更したレイアウトの新たなスライドにも、「Meiryo UI」のフォントが適用されていることが確認できます。

おわりに
この記事では、PowerPointのスライドマスター機能の基本的な使い方を解説しました。
そんなに頻繁に触る機能ではないかもしれませんが、これを知っておくかどうかで、PowerPointで作る成果物のクオリティが大きく変わってきます。それは、スライドの見た目だけではなく、あとから編集するときに編集しやすい形になるということも含みます。
ぜひ、スライドマスターを活用して、統一感の取れたスライドを作成してみてください。

